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安田登『役に立つ古典』/一体古典の役割とは何だろう?

「役に立つ古典」安田登
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「古典って何の役に立つの?」

そんな疑問を感じたことはないですか?

古典のイメージといえば難しい文法、わけのわからない用語、複雑な歴史的背景……。

「そもそもそんな昔の話なんか知ったってどうしようもなくない?」

「今とこれから先の未来のことのほうがずっと大事でしょ?」

ですよね!私もそう思っていた時期がありました(学生のときの古文とか古文とか古文とか……)。

しかし、今は違います。古典?めちゃくちゃ大事。もっと知りたい。

なぜかと言うと、大切な「今」と「未来」を考えるには、過去を知ることが大事だから

「今」も「未来」も「過去」の延長線上にある。つまり、過去を知ることは、未来を知ることにつながっていくのです。

hontoiru
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  • ブログ管理人:hontoiru
  • 編集ディレクターを経て現在はフリーライター
  • 本業では主に飲食系やエンタメ系のライティングを担当
  • 趣味は読書、歴史、カフェ巡りなど

今回はそんな古典の必要性を実感できる一冊、安田登氏の『学びのきほん 役に立つ古典』をピックアップしたいと思います。

古典の必要性がわからない、古典って一体どんな役に立つの?という人ほど、ぜひ読んでいただきたい一冊。

それではさっそく紹介していきましょう。

目次

『役に立つ古典』はこんな人におススメ!

『役に立つ古典』はこんな人におススメします。

  • 古典の必要性に疑問をもっている人
  • 昔のことは今と未来に関係ないと思っている人
  • これから古典に触れていきたいと思っている人
hontoiru

過去は知らないことだらけ。つまり過去を知るということは、新しい発見だらけなんですよね。だから私は古典や歴史をすごく楽しいと思っています。

『役に立つ古典』の内容

古今東西の名著に精通する能楽師・安田登氏による古典講座『学びのきほん 役に立つ古典』。『古事記』に基づく「日本人」の原点や前古代の死生観、『論語』が示す「心」の道しるべ、『おくのほそ道』に学ぶ「和とユーモア」など、今までの常識をくつがえすような独自の解釈と共に、古典の「有益さ」が語られています。

古代日本の「死ぬ」とはどういうことを指したか、「四十にして惑わず」とはどういう意味だったか、「温故知新」とはどんな精神作用のことなのか。

自分のこれからの生きる道を見つけるためにも、読んでおきたい古典の入門書です。

「NHK出版 学びのきほん」シリーズとは?

哲学、古典、仏教、医学などの基本が、2時間程度で読める実践的教養シリーズです。教養本というとシニア向けが多いイメージですが、このシリーズはデザインも若い世代をターゲットにしており、若い女性ファンも多数。読みやすく、分かりやすいので、様々なジャンルの「知」への入り口としておススメですよ。

『役に立つ古典』のレビュー

古典に詳しい能楽師・安田登氏による、古典と出会うためのヒントがたくさんつまった内容です。安田氏もまた高校時代は古典嫌い。「こんなの何の役に立つのか」と思っていたそうですから、多くの人がそう感じるのは当たり前なのかもしれません。

しかし、古典の「役に立つ」というのは、目先の利益を生み出すような「役立ち方」ではありません。それはもっとじんわりと私たちの考え方に影響を与え、悲しいときも辛いときも支えてくれる「人生の糧」として役立ってくれるのです。

本書にも、「悩んでいるときに論語の章句が薬のように効いた」、「俳句を詠むために季語を意識して自然を見るようになったら悩みが風景の中へ溶け込んでいった」、などといった事例が載っています。

つまるところ古典は、即効性はないが遅効性のじんわりじわじわ効く薬のようなもので、私たちの心をいざという時に支えてくれる大切な役目を果たしてくれるのです。

と……、こう書くと、「な~んだ、結局精神論の本か」と思った人がいるかもしれません。

いえいえ、それ以上に興味深いことが古典を知ることで次々と分かってくるのです。それは「ああ、そうだったのか!」と今までの知識と新しい知識が結びついて頭がスパークするような体験。

例えば私がとても面白く感じたのは、それまで文字をもたなかった日本人が漢字をもとにしていかにして日本語を手に入れたかという話や、前古代の日本人には、今私たちが考える「死ぬ」という概念はなかったのではないか、という話。

とっても興味深いでしょう?

こんな当たり前のように使っている言葉や概念について、起源や由来について考えたことはありますか?

私はなかったので、「そそそそそそそうか!!!」とびっくりしました。ぜひ皆さんもびっくりしてください。

さらに、こんな一文にもハッとさせられました。

いま私たちは、AIを中心としたテクノロジーの大変化の渦中にいます。遠くない将来にAIが人間の脳を超えるシンギュラリティが到来するという人までいて、「どんな未来がやって来るのだろう」と不安になる人も少なくありません。

しかし私は人類は過去においてすでにシンギュラリティを経験しているので心配はない、と思っています。過去におけるシンギュラリティとは「文字の発明」です。文字の発明が「時間」や「心」を生み出したことはお話しましたが、もうひとつ、「知」をも生み出したのです。

『役に立つ古典』より

※シンギュラリティ=「人工知能が人間の知能を超える時点」を意味する言葉。

なんと、実はもう人類はシンギュラリティを経験していたとは!

さらに、「文字とは、頭の中にある情報や思考を頭の外に出して記録するための道具」であると安田氏は言います。

改めてそう言われると、確かに!「文字」ってすごい発明!

こうして過去をひもとくと、未来の見方も変わって来ます。

少なくともむやみやたらと不安に駆られることも少なくなるかもしれません。

実際、古典や歴史の本を読んでいると、何度も大きな技術革新を迎えながらも、日々の暮らしの悩みから政治的な不安まで、昔も今もあまり変わっていないことに気づきます。良くも悪くも(?)大問題を前にして悩んでいるのは、私だけではない、ということです。

つまり過去を知ることで、また世界が、未来が、違って見えてくるということ。

──同じような局面を過去の人はどうやって乗り越えたのだろう。

──昔からある”常識”だと思っていたけれど、本当にそうかな?

──本当に今起きていることは、過去に例のないことなんだろうか?

単なる精神論だけではなく、地に足をつけて今を、そして未来を自分の頭で考えていける目を持つことができる。それが古典の大きな魅力だと、改めて本書で気づかされました。

安田登プロフィール

1956年千葉県生まれ。下掛宝生流ワキ方能楽師。高校教師時代に能と出会う。ワキ方の重鎮、鏑木岑男師の謡に衝撃を受け、27歳で入門。現在はワキ方の能楽師として国内外を問わず活躍し、能のメソッドを使った作品の創作、演出、出演などを行うかたわら、『論語』などを学ぶ寺子屋「遊学塾」を全国各地で開催。日本と中国の古典の“身体性”を読み直す試みにも取り組んでいる。著書に『能 650年続いた仕掛けとは』(新潮新書)、『身体感覚で『論語』を読みなおす。』(新潮文庫)、『すごい論語』『あわいの力』(ミシマ社)、『身体感覚で「芭蕉」を読みなおす。』(春秋社)、『日本人の身体』(ちくま新書)など。内田樹との共著に『変調「日本の古典」講義』(祥伝社)がある。

『学びのきほん 役に立つ古典』より

『役に立つ古典』のまとめ

「役に立つ古典」安田登

今回は安田登『役に立つ古典』を紹介いたしました。

本書は、若い女性のファンも多い「NHK出版 学びのきほん」シリーズの一冊で、古今東西の名著に精通する能楽師・安田登氏による古典講座。『古事記』『論語』『おくのほそ道』『中庸』といった代表的な作品を取り上げています。

今までの概念をくつがえすような新たな解釈。古典という昔の話でありながら、新しい驚きや発見がたくさん。古典なんか古臭い、役に立たないと思っている人にこそ、読んでほしいと思います。読了後、きっとあなたの「今」、そして「未来」を見る目に変化がおとずれるでしょう。

  • 古典の必要性に疑問をもっている人
  • 昔のことは今と未来に関係ないと思っている人
  • これから古典に触れていきたいと思っている人

におススメです!

《おわりに》

私は以前から本は速読ではなくゆっくり読みたい派なのですが、安田氏も本書の終わりで「遅読」をすすめています。氏のいう「遅読」は、現代文を読まずに原文そのものを読むというものなので、これはさすがに誰でもいきなりチャレンジできるとは思えませんが、まずは現代語訳からでも、漫画・解説書からでも古典に触れていってはいかがでしょうか。

ついつい早く答えを求めてしまい、次の刺激に移りたくなるのは私たちの悪いクセですが、まずはじっくりと一冊の本、一行の文章、たった一つの単語に向き合ってみる。そんな読み方をしてこそ、本を読んだ実感、満足感も得られるのだと思います。

古典という遠い昔の話ながら、新しい驚きと発見がたくさんつまった「役に立つ古典」、興味をもった方はぜひ読んでみてください。

古典については本のサブスク「Kindle Unlimited」で読める古典30作品を紹介した下記の記事もあります。「古典には興味があるけれど、何から読んだらいいの?」という方はぜひ参考にしてみてください。

時間をかけた読書、スロー・リーディングについては、平野啓一郎の『本の読み方 ─スロー・リーディングの実践』という本もご紹介しました。ご興味のある方はそちらもどうぞ。

それではまた次の本でお会いしましょう。

いつも本と一緒。本と いる。

「役に立つ古典」安田登

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