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スロー・リーディングはビジネスにもメリットあり|平野啓一郎が説く『本の読み方』とは?

平野啓一郎がすすめるスロー・リーディングとは?
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「一ヶ月に50冊読みました」

「一年で1000冊を読破!」

そんなことを言われると「す、すごいですね…」と、汗をかきながら後ずさりしてしまう、当読書ブログの筆者です。

読書の目的は様々。仕事に役立てたいとビジネス本や自己啓発書をたくさん読む方もいるでしょうし、話題の新刊を次々と読破している方もおられるでしょう。速読も多読も素晴らしいことです

しかし、本の読み方はそれだけではない、と私はずっと思ってきました。特に小説やエッセイ、詩などは、慌てずゆっくりとその世界を味わいたいもの。時には何度も読み返したり、何年か経ってからまた新たな気持ちでページをめくったり。

このブログも、「忙しい日々の中のちょっとした一人時間を、本と共にゆったり豊かに過ごしてほしい」という想いでスタートしています。

hontoiru
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  • ブログ管理人:hontoiru
  • 編集ディレクターを経て現在はフリーライター
  • 本業では主に飲食系やエンタメ系のライティングを担当
  • 趣味は読書、歴史、カフェ巡りなど

今回紹介する、平野啓一郎著『本の読み方 スロー・リーディングの実践』(株式会社PHP研究所)は、まさにそんな私の想いにぴったり! 共感することや改めて気づかされることが多い一冊でした。

hontoiru

本が好きなのに「早く読めない」「たくさん読んでいない」ことをコンプレックスに感じていませんか?この本を読めば、そんな心配は一切必要ないことが分かるでしょう◎

目次

「本の読み方 スロー・リーディングの実践」はこんな方におススメ!

平野啓一郎著「本の読み方 スロー・リーディングの実践」は、こんな方におススメします。

  • 速読や多読ができなくて読書が苦手だと思っている方
  • 量より質を大切にしたいと感じている方
  • 作家がどう本を読んでいるか知りたい方

それではさっそく紹介していきましょう。

「本の読み方 スロー・リーディングの実践」の内容とは

「本の読み方」平野啓一郎

<忙しい現代人にとって「本を速く読みたい」と思うのは当然のこと。しかし、速読は本当に効果があるのだろうか? 10冊を読むよりも、1冊を丹念に読んだほうが、人生にとってはるかに有益ではないだろうか──>

累計60万部超のロングセラーとなった『マチネの終わりに』などで知られる小説家・平野啓一郎氏が提唱する「スロー・リーディング」。情報が氾濫する現代だからこそ、「量から質への転換」が大事であると、「一冊の本にできるだけ時間をかけ、ゆっくりと読む」ことを推奨する

  • 第一部 スロー・リーディング 基礎編 「量から質への転換を」
  • 第二部 スロー・リーディング テクニック編「魅力的な『誤読』のすすめ」
  • 第三部 スロー・リーディング 実践編 「古今のテクストを読む」

特に第三部では、夏目漱石の「こころ」や、三島由紀夫の「金閣寺」、カフカの「橋」、著者自身の「葬送」まで、各作品の一部をテクストとして丁寧な読み方を案内する。

作家はどう本を読んでいるのか、どう読んでほしいのか?

読者としてはもちろん、自分で文章を書く際にも役立つ様々なヒントが詰め込まれた一冊。読後はきっと、一冊の本をもっともっと大切に味わいたくなるでしょう。

「本の読み方 スロー・リーディングの実践」のレビュー

「本の読み方」平野啓一郎

「速読」がもてはやされる現代。仕事の資料や必要な情報を集めるための読書であれば、ざっと概要さえつかめればいいのですから速読は非常に有効なはず……。

しかし平野啓一郎氏は、仕事・面接・試験にさえ、「スロー・リーディング」は有効であるといいます。なぜなら、「スロー・リーディング」は「言葉を深く理解する技術」だからだと。

むしろ「スロー・リーディング」を行なって書き手の意図をきちんと理解する術を身に着けてこそ、速読への道も開かれるのでは、というわけです。

私たちは、数十年前に比べて、はるかに容易に、はるかに多くの本を入手できるようになった。しかし、そのおかげで、私たちはかつての人間よりも知的な生活を送っていると言うことができるだろうか?

「本の読み方 スロー・リーディングの実践」本文より

これには思わず笑ってしまいました。

「たくさんの本を読んだ=知的になった」とは限らないというわけです。

あちこちに旅行したという人に、ではあそこはどうだったか、ここは?と尋ねても、行ったはずなのに大して詳しく知らなかったりする…という例え話も確かに納得です。

さらに「速読とは、『明日のための読書』である。それに対して、スロー・リーディングは、『五年後、十年後のための読書』である」とも。

このように、同書には改めてハッとさせられる言葉がたくさんあり、膝を打ったり目を開かされたり。

第三部では、古今の名作をテクストとして「てにをは」の使い方まで注目して、些細な違和感も逃さない読み方を教えてくれています。

常に「なぜ」と考えてみることはスロー・リーディングの基本。

「本の読み方 スロー・リーディングの実践」本文より

中でも私は、川端康成の「伊豆の踊子」の一文が、主語がはっきりしないため二通りに読めること、それを川端自身も最初は「読者の読みが足らない」と怒ったものの、やがて「確かにそうだ」と認めたこと、その理由は…という箇所が大変興味深かったです。

また、カフカは「変身」は読んでいたものの、同書に掲載されていた「橋」は初めて読みました。カフカ、面白い!笑

こんな風に、一冊の本から別の本、別の作者への興味が沸いて世界が一つひとつ広がっていくところも読書の楽しみ。大丈夫。平野氏もこう言っています。

本というものは、未読のものがあれば、卑屈にならずに読みさえすればいいのである。それで、その瞬間から、これまで読んでいた人と何も変わらなくなるのだから。

「本の読み方 スロー・リーディングの実践」本文より

平野啓一郎プロフィール

平野啓一郎氏と言えば冒頭でもお伝えしたように映画化もされた『マチネの終わりに』が有名ですが、最近では(2022年8月~)『空白を満たしなさい』が、柄本佑主演のNHK土曜ドラマにもなりましたね。

平野啓一郎(ひらの けいいちろう)

1975年愛知県生まれ。京都大学法学部卒業。98年、大学在学中に雑誌『新潮』に寄稿した『日蝕』(新潮文庫)が”三島由紀夫の再来”として注目を集める。同作品で翌年芥川賞を受賞。2002年、2500枚を超す大作『葬送』(新潮文庫)を刊行。以後、旺盛な作家活動を続け、その作品はフランス、韓国、台湾、ロシア、スウェーデンなど、翻訳を通じて広く海外にも紹介されている。

「本の読み方 スロー・リーディングの実践」著者紹介より

「本の読み方 スロー・リーディングの実践」のまとめ

今回は平野啓一郎著「本の読み方 スロー・リーディングの実践」を紹介しました。

大量の情報が溢れている現代だからこそ、量ではなく質を大切にし、「一冊の本にできるだけ時間をかけ、ゆっくりと読む」というスロー・リーディングを推奨する内容。

  • 速読や多読ができなくて読書が苦手だと思っている方
  • 量より質を大切にしたいと感じている方
  • 作家がどう本を読んでいるか知りたい方

におススメしたい一冊です。

「本の読み方」平野啓一郎

私は作家ではありませんが、言葉を扱い文章を書くライターの端くれとして、書き手がどれだけ一つの言葉を選ぶのにも気を使い、文章の順番や、何を書き省くのかなどに細心の注意を払っているかは多少なりとも知っているつもりです。

情報だけ掴むというのではなく(その掴んだはずの情報さえ誤読や思い込みに流されているかもしれませんよ?)、書き手の些細な書き方も見落とさず、自分でゆっくりと考え、自分なりの答えを模索する。

そんな自分の人生の糧となる読書こそ、私が大切にしたい本との付き合い方だなと、「本の読み方 スロー・リーディングの実践」を読んで改めて実感しました。

平野氏の公式サイトにはこうメッセージが掲げられています。

「ページをめくる手が止まらない」小説ではなく、「ページをめくりたいけどめくりたくない、ずっとその世界に浸りきっていたい」小説を書きたいと、いつも願っています。

平野啓一郎公式サイト

速く読むこと、たくさん読むこと。

いつのまにかそれが最良とされてしまっている今の世の中。

「急がば回れ」という言葉もあります。

一冊の本との出逢いをもっと大切に、より深く味わっていきませんか?

それではまた次の本でお会いしましょう。

いつも本と一緒。本と いる。

平野啓一郎がすすめるスロー・リーディングとは?

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