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寺山修司の『ポケットに名言を』|言葉の魔術師が贈る人生の処方箋

寺山修司の『ポケットに名言を』
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『書を捨てよ、町へ出よう』

1967年に出版された上記タイトルの評論で、寺山修司は時代を鮮烈に挑発しました。

平均化された人々の暮らしなぞクソくらえ、本など捨てて町へでるべきだ、つまり実体験をもっと大切にすべきだ、君は分厚いステーキを喰ったことがあるか? 家出をしてみたことは? 競馬やヤクザになる方法を知っているか? と、魅惑の言葉で若者たちの心を煽ったのです。

私は残念ながら当時をリアルタイムでは知らないのですが、しかし寺山修司の言葉の魔力にはまり、思春期に夢中で読んでいました。

2022年現在、今やとっくに、寺山が言った手の平ほどの分厚さのステーキは珍しくもなくなり、ヤクザや煙草といったアウトローな世界に憧れをもつ若者も少なくなりました。

それなら、寺山修司はもう古いのか?

いえいえ、そんなことはありません。

今回紹介する『ポケットに名言を』を読めば、言葉の魔術師といわれる寺山修司の感性で選び取られた言葉が、あなたの発想を大いに刺激してくれるでしょう。

人生に行き詰まったとき。

既存の考え方を脱して発想の転換をしたいとき。

あなたの心を助けてくれる処方箋として、この『ポケットに名言を』をおススメします。

hontoiru
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  • ブログ管理人:hontoiru
  • 編集ディレクターを経て現在はフリーライター
  • 本業では主に飲食系やエンタメ系のライティングを担当
  • 趣味は読書、歴史、カフェ巡りなど
目次

『ポケットに名言を』はこんな人におススメ!

『ポケットに名言を』をぜひ読んでほしいのはこんな人。

  • 詩的な言葉で心を満たしたい人
  • 既成概念から離れて新しい発想を求めている人
  • 裏をゆく作家たちの言葉にハッと打たれたい人
hontoiru

寺山修司という作家のメモノートを覗き込むような楽しさもあります

『ポケットに名言を』の内容

名言集は数あれど、この『ポケットに名言を』ほど型破りな名言集は珍しい。哲学者や作家の言葉だけでなく、歌謡曲の一節や映画のセリフまで

俳人、歌人、劇作家、映画監督などマルチに活躍した、寺山修司の琴線にふれた言葉の数々に、ハッとさせられること多々。

読むのではなく、シャツでも着るようにもっと気軽に名言を自分のものに。

いつもポケットに入れておきたい、人生の処方箋がここにある。

『ポケットに名言を』のレビュー

「ポケットに名言を」寺山修司

言葉を友人に持ちたいと思うことがある。

それは旅路の途中でじぶんがたった一人だと言うことに気がついたときにである。

『ポケットに名言を』より

歌謡曲の一節、映画のセリフ、海外の作家や劇作家の文章、そして寺山修司自身の言葉も……。

さまざまな人々がもらす含蓄のある名言が、「人生」、「孤独」、「恋」、「幸福」、「文化」などの章に分けられて多数紹介されています。

(久しぶりに開いてみると、意外にも三島由紀夫や太宰治の言葉も多いのが目を引きました)

中には現代の多様性やジェンダーの考え方にはそぐわない、時代を感じさせる名言もあることは確かですが、それもまた歴史の一ページ。

長大な戯曲や文学作品の中からたった一言だけを選び出し、それを名言とするのはその言葉が話された背景、文脈が分からないから解釈が難しい…というネットの感想もあるようですが、寺山自身が本作のあとがきでこう述べています。

思想家の軌跡などを一切無視して、一句だけとり出して、ガムでも噛むように「名言」を噛みしめる。その反復の中で、意味は無化され、理性支配の社会と死との呪縛から解放されるような一時的な陶酔を味わう。

『ポケットに名言を』改訂新版のためのあとがき より

これが寺山流の名言の味わい方というわけです。

さてさてここで、なぜ、ある言葉が名言になるのか?

それは「当たり前のことを当たり前には言わないから」でしょう。

「死ぬこと=悲しい」「失恋=絶望」「希望=素晴らしい」

そういったありきたりの発想はナンセンス!

既存の概念を破り、裏から眺める。

クリエイティブな発想というのは、「天邪鬼」な考え方から生まれるものなのだ、ということが、この『ポケットに名言を』を読んでいるとよく分かります。そしてそれが大変心地よいのです。

全ては光と影の表裏一体。

幸せに酔うことと、惰性は似ているかもしれない。

死ぬほど辛くても、それこそ人生の味わいと言えるかもしれない。

ときにシニカルに、ときに大胆に、人生に逆転の発想を。

ひねくれものの考え方で、人生の舵を切ろう。

そんな想いにさせてくれる、名言の数々がぎっしりと詰まっています。

寺山修司のプロフィール

寺山修司【てらやましゅうじ】

歌人,詩人,劇作家,演出家,映画監督。青森県生れ。早大中退。俳句を中心として文学活動を始め,ついで短歌に転じて,1950年代後半には前衛短歌の代表的歌人と目される。1960年ころより演劇に移行,1967年には〈演劇実験室天井桟敷〉を結成し,市街劇など多彩な実験演劇を試み,小劇場運動の担い手となった。代表作《毛皮のマリー》(1967年),《奴婢訓》(1978年)など。映画《田園に死す》(1974年)ほか,ボクシング,競馬の評論など,多彩な活動を行った。

百科事典マイペディア より

『ポケットに名言を』のまとめ

「ポケットに名言を」寺山修司

多彩な才能を発揮して、演劇界や映画界に数多くの作品を残した寺山修司。彼は俳人・歌人でもあります(私は彼の俳句や短歌も大好きなので、またご紹介したいと思っています)。

そんな寺山修司が独自の感性で、古今東西、哲学者の言葉から歌謡曲の一節まで様々な名言を集めた『ポケットに名言を』をご紹介しました。

  • 詩的な言葉で心を満たしたい人
  • 既成概念から離れて新しい発想を求めている人
  • 裏をゆく作家たちの言葉にハッと打たれたい人

に、おススメです。

作家のメモノートを見ているようでもあり、クリエイティブな発想をみがきたい人にも参考になるはずです。この本をきっかけに、あなた自身が見つけた名言を書き留めた名言集を作ってみるのも素敵ですね。

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『ポケットに名言を』

それではまた次の本でお会いしましょう。

いつも本と一緒。本と いる。

寺山修司の『ポケットに名言を』

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