古典や史実をもとに、怪奇な世界を描くファンタジー・伝奇小説。
実際にはありえないぶっとんだ設定や、ときにエロティックで血なまぐさい展開もとっても魅力的です。
ド、ドキドキする非現実な世界へ行ってみたいぞ…!
ふふふ、そんなusausaのような人におすすめ。小説の中だからこそ、血とバイオレンスにまみれた、妖しいエロティックな描写に浸ってみましょう!
文章だからこそ、善悪を超えて脳内イメージは無限。空想はどこまでも羽ばたいて広がります。
伝奇小説は、言葉で心を魅了する小説ならではの醍醐味が、ぎゅぎゅっと詰まっているといっても過言ではありません。
今回紹介する5つの作品で、さっそくトリップしてみましょう♪
【おすすめ伝奇小説】あなたを妖しく不思議な世界へ誘う傑作5選
正直、魅力的な伝奇小説はありすぎて絞るのが難しすぎました。
いや、もう「伝奇小説」自体が魅力的すぎるジャンルですよね。
まだまだ紹介したいすばらしい伝奇小説はたくさんあるので、今後第二弾、第三弾の記事をアップするかもしれませんが、まずは今回下記の5作品に厳選。
そんな風に思っている方に向けて紹介します。
いずれも夢中で読んでしまうほど面白い物語ばかりなので、ビビッと来たものがあれば、ぜひぜひ読んでみてください。
『巷説百物語』京極夏彦
1994年に『姑獲鳥の夏』で鮮烈デビューし、妖怪や怪異をテーマにした作品を次々と出版している京極夏彦氏。その作品は超長編が多く、本の分厚さから「これは枕」、「読む鈍器」などと呼ばれるほど。小説慣れしてないと読むのが難しいのではと思うかもしれませんが、独自の物語世界に一気に惹きこまれていくので大丈夫。ご存知の方には今更何をという感じでしょうが、現在も変わらず熱烈なファンがぞくぞくと誕生し続けている人気作家の一人です。
『巷説百物語』は、江戸時代を舞台に、小悪党の一団が公にはできない闇の事件を妖怪の伝承を利用した仕掛けで解き明かしていく物語。簡単に説明すると、「必殺仕事人」のようなスタイルとでもいいましょうか。超長編が多い京極氏の作品ですが、こちらはそれぞれ独立した物語がつながっている一話完結の短編集のため、京極作品ビギナーの方にもおすすめです。
『契丹伝奇集』中野美代子
中国を舞台にしたファンタジー小説がお好きな方、中国の歴史ドラマがお好きな方におすすめ。作者は、日本の中国文学者であり、中国やアジア地域を舞台にした小説を多数発表されている中野美代子氏。『西遊記』などの古典、中国史の豊富な知識はもちろん、実際にサマルカンドやブハラへ旅をした実体験などから、描かれる作品は自由奔放。滴るような艶のある言葉で綴られる、エキゾチックで自由自在なイマジネーションの世界に、遠く魂を飛ばされる心地がします。
この『契丹伝奇集』には短編と掌編が収められていますが、収録されている中で「女俑〈じょよう〉」が一番好き! 侍女という立場ながら、屋敷中を手玉にとって見事な悪女ぶりを見せる女性にすっかり心を奪われてしまいました。こんな女性、身近にいたら怖いけれど、実はあなたの心の中にも住んでいるかもしれませんよ。
ちなみに「契丹(きったん)」とは▼
古くから中国の興安嶺(こうあんれい)東部のシラムレン川流域に遊牧し、10世紀の初め遼(りょう)王朝を建設したモンゴル系の民族。
日本大百科全書(ニッポニカ)「契丹」の解説
とはいえ、物語の舞台は時も場所も超えた、人の世とも限らない神仙が活躍するような世界です。
『神州日月変』(上・下)栗本薫
これぞ、「伝奇×時代小説」。<よっ、娯楽小説の鑑(かがみ)!>などと、思わず声をあげたくなる作品。冒頭の妖術師 VS 浪人との鬼気迫るやりとりから、流れるような江戸の息遣いに幻惑されてしまいます。
作者はベストセラー作家であり評論家であった栗本薫氏。私は彼女のファンでしたが、残念ながら2009年に56歳で亡くなられました。多作で知られ、その著作は400作以上。代表作は『グイン・サーガ』や『魔界水滸伝』など多数ありますが、歌舞伎や長唄にも造詣が深かった氏だけに、江戸を舞台とした伝奇小説には当時の山東京伝や馬琴などの戯作を思わせる、荒唐無稽な面白さが充満していて大好きです。この「神州日月変」も、栗本版八犬伝といえるでしょう。
お江戸のギラつく奇想天外な物語に興味のある方、ぜひ!
『妖櫻記』(上・下)皆川博子
幻想小説の旗手・皆川博子氏が描く長編伝奇小説『妖櫻記』。残虐で官能的、美醜も正邪もひとまとめにして、縦横無尽に物語は進みます。修験道の命がけの激しい修業シーンには息を飲み、みだらな官能シーンに目を奪われ、知る人ぞ知る邪宗「立川流」なども出てくると、伝奇小説の面白さに一層拍車がかかるというもの。
下敷きになっているのは、山東京伝の読本『桜姫全伝曙草紙』。歌舞伎でも上演される「桜姫東文章」といえばご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。ドラマティックな因果物語が、皆川氏の手によって室町時代へ舞台を移して花開きます。
『新・里見八犬伝』(上・下)鎌田敏夫
馬琴の『南総里見八犬伝』をベースにして作られた角川映画の一大エンターテインメント伝奇映画『里見八犬伝』。深作欣二監督、薬師丸ひろ子・真田広之主演で1983年に公開されました。本書はその原作です。
とにかく官能的で残酷な描写があるので、そういったものが苦手な方にはおすすめしません(そういったものが苦手な方は伝奇小説には手が伸びないかもしれませんが…)。それぞれエピソードをもつ八人の戦士たちや、女の柔肌を求める敵の首領・蟇田素藤、毒婦・船虫など、魅力的なキャラクターにぞくぞくします。本家、馬琴の『南総里見八犬伝』とはかなり違った展開ですが、これはこれで非常に面白く楽しめる一冊。映画とあわせて楽しんでみるのも良いかもしれません。
まとめ:中毒性がある伝奇小説は沼!
以上、いずれもワクワクドキドキするような非日常が味わえる伝奇小説、5作品をご紹介しました。
- 『巷説百物語』京極夏彦
- 『契丹伝奇集』中野美代子
- 『神州日月変』栗本薫
- 『妖櫻記』皆川博子
- 『新・里見八犬伝』鎌田敏夫
伝奇小説は、妖術師が出て来たり、死人が生き返ったり、史実とはまったく違う話になったりと、何でもありの設定が楽しくて夢中になってしまいます。
「こんなことありえない」
「こんな設定、おかしいでしょ笑」
な~んて野暮、野暮。
現実とは全くちがう不思議な世界に存分に浸ってしまいましょう。その方が楽しい!
今回ご紹介した中に、あなたが興味をもった作品が一つでもあればうれしく思います。
ぜひ一緒に、伝奇小説沼をずぶずぶ泳いでいきましょうね◎
▼当ブログでは「幻想・ホラー小説」の特集記事もありますので、あわせて御覧になってください▼
あなたと本との素敵な出逢いを祈っています。
それではまた次の本でお会いしましょう。
いつも本と一緒。本と いる。
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