「マイブーム」「ゆるキャラ」など数々の流行語を生み出してきた、漫画家・イラストレーターのみうらじゅん。
小学生の頃からの仏像マニアであり、いとうせいこう氏や、安西肇氏と女装バンドを組んだり、「いやげもの」(「誰がこんなものを買うのか?」と思わせる観光地の土産物)をコレクションしたり……。2021年には、『「ない仕事」の作り方』で『2021年本屋大賞』の「発掘部門/超発掘本!」を受賞するなど、独自のスタンスで多くの世代から注目を集め続ける異才の人です。
そんな氏が、誰もが抱いている人生の不安への対処法を、軽妙ながら深く語っているのがこの一冊。肩の力を抜いて人生を楽しむためのコツ・名言の数々が詰まった『さよなら私』というエッセイを、今回はご紹介したいと思います。
みうらじゅん『さよなら私』はこんな人におすすめ!
『さよなら私』はこんな人におススメします。
- 仕事や恋愛、家庭など人生が思い通りにいかず落ち込んでいる人
- 将来になんとなく漠然とした不安を抱えている人
- ほっと一息、気分を変えてくれる名言を探している人
何かあってもなくても、なんとなく気分が落ち込むこともありますよね……
そもそも人間とは「悩める子羊」だからな
うさぎさんに言われるとは…
- ブログ管理人:hontoiru
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- 趣味は読書、歴史、カフェ巡りなど
『さよなら私』の内容について
いいこともあれば、悪いこともある。はじめがあればおわりもある。「自分さがし」をやめればもっと人生は楽になる。そもそも「自分」などないのだから。
「さよなら私」。
「不安からの逃避法」、「呪文・そもそもはない」、「脳との最終戦争」など、軽妙な語り口で語られる、みうらじゅんのゆるくも深い人生訓がつまったエッセイ。気持ちが沈んだときに読みたい、思わずふふっと笑って気持ちがラクになる一冊です。
『さよなら私』のレビュー
一編が数ページほどのかる~い読み口のエッセイ。しかし、その根底にあるのは、「あらゆるものにとらわれることなく生きなさい」という仏教の教えです。
日本各地を歩き回り、街の看板から般若心経の278文字を探して写真に集めるという『アウトドア般若心経』を発案し、5年かかってようやく完成させたというみうらじゅん氏。写経ならぬ写真経という新ジャンルを思いついたきっかけは、街の駐車場に「空アリ」という看板文字を見つけたからだそう。
仏教が説く「空」とは、あらゆる事物は固定的な実体性を持っていないということ。
すべてはない。
だから私もない。
私たちが本当にしなくてはならないのは「自分さがし」ではなく、少しでもボンノウを消そうとする「自分なくし」ではないの?と氏はいいます。
読んで思ったのは、本当に誰もが「不安を抱えて生きている」んだなあということ。広く活躍している作家や著名人、スポーツ選手も、みんなだいたい「不安への対処法」について独自の考えをもっていますよね。
つまり不安は活躍しているようにみえようとみえなかろうと、若かろうと年をとろうと誰もが感じている、当然の感情。だからこそ、自分に向いている不安への対処法を見つけて、なんとか日々をかわしていくのが、人生をラクにする秘訣なのかもしれません。真っ向から立ち向かうより、ちょっと視点を変えて他の道を探すのが良いようです。
たとえば、私が思わず笑ってしまったのは下記の文章です。
まぁまぁ不安、かなり不安、ものすごく不安。
この繰り返しの人生の中で、たまたま不安を感じないときがある。
その程度のものが安心であると考えたほうが賢明でしょう。
それにしても不安は勢力の強い台風のよう。
ナイーブな気持ちも楽しく思えた過去もなぎ倒してしまいます。
そんなときは「不安だ」の下に「スティック!」をつけ、大声で叫びましょう。
「不安ダスティック」。なんだか素晴らしいことのように思えますよ。
『さよなら私』「不安からの逃避法」より
ね? これは実際に叫んでみるとバカみたいだけれど、今まで思いつめた気持ちがほどけていく呪文。
この本を読んでから、私も「不安ダスティック!」と時々つぶやいています笑
ほかにも「不安こそ生きてるあかし」、「モノノカンガエカタ」、「のんきになるための一歩」など、読んでいるうちに悩んでいること自体がぜんぶ私の妄想では? あれ? 何をそんなに真剣になっていたんだっけ…と思えて来るから不思議です。
明日を生きるのが、ほんのちょっとラクになるおすすめの一冊です。
みうらじゅんプロフィール
手がけている仕事のジャンルが幅広すぎて、肩書はイラストレーター「など」にしているというみうらじゅん氏のプロフィール。
みうらじゅん
イラストレーターなど1958年2月1日京都市生まれ 血液型AB型
みうらじゅんOFFICIAL SITE より
1980年 武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー
1997年 「マイブーム」で新語・流行語大賞受賞
2005年 日本映画批評家大賞功労賞受賞
2018年 仏教伝道文化賞 沼田奨励賞を受賞
まとめ:みうらじゅん『さよなら私』
以上、今回は落ち込んだときや不安にかられたときに読んでほしい、みうらじゅんの『さよなら私』を紹介しました。思わずふふっと笑って、明日を生きるのが少しラクになる一冊。あなたの気持ちもきっとほぐれてゆくはずです。
- 仕事や恋愛、家庭など人生が思い通りにいかず落ち込んでいる人
- 将来になんとなく漠然とした不安を抱えている人
- ほっと一息、気分を変えてくれる名言を探している人
におすすめしたい本でした。
みうらじゅん著『さよなら私』は、「落ち込んだ時に読みたい本」を特集した下記の記事でも紹介しています。落ち込んだときに読みたい本を探している方はぜひこちらもお読みください。
あなたと本との素敵な出逢いを、当ブログ「本と いる」は応援しています。
それではまた次の本でお会いしましょう。
いつも本と一緒。本と いる。
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