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古地図の読み方が分かる!時空を超えて楽しむ『江戸想像散歩』

江戸想像散歩
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歴史好きな方、江戸時代が好きな方は、古地図に興味をもったことはありませんか?

「古地図??どんなの??」

と思った方、たとえば下記のような江戸時代に作られた地図のことです▼

日本橋古地図
景山致恭,戸松昌訓,井山能知//編『〔江戸切絵図〕』築地八町堀日本橋南絵図,尾張屋清七,嘉永2-文久2(1849-1862)刊.
国立国会図書館デジタルコレクションより

これは右側に日本橋、左に築地本願寺、そして下には佃島、というエリアの江戸時代は幕末の頃の地図になります。

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……チョット何ヲ描イテイルカワカリマセン

hontoiru

まあ、確かに今の地図とは違いますよね。でも読み方が分かるとこの中に込められた情報量にびっくりするんですよ!

今回は、このような古地図から実際の江戸の町並みを想像しつつ、脳内散歩を楽しんでしまおうという本をご紹介します。

それは『江戸想像散歩』(冨岡一成著、旬報社刊)。

古地図の読み方から、実際の江戸の町の詳しい様子まで分かる楽しい本です◎

目次

時空を超えて楽しむ『江戸想像散歩』はこんな人におすすめ

『江戸想像散歩』をおすすめしたいのはこんな人です。

  • 歴史、特に江戸時代に興味がある人
  • テレビ番組「ブラタモリ」など町歩きに興味がある人
  • おうちタイムを楽しみながら想像散歩をしたい人

東京に住んでいる方であれば、もちろんこの本を片手に実際に散歩をされてもいいでしょう。

しかし遠方に住んでいる方も、この本で楽しいお江戸散歩ができますよ!

『江戸想像散歩』の内容

歌川広重・日本橋
イメージ:歌川広重 「東海道五十三次 日本橋 朝之景」

江戸時代に作られた古地図から、読者の頭の中で当時の町並みを浮かび上がってくるように、詳しい解説と共に紹介する『江戸想像散歩』。

第一章では、古今亭志ん朝の落語の中に出て来るルートを、当時の風景を辿りながら想像の中で散歩。

第二章では、江戸城を囲むように並ぶ武家地や、日本橋・両国などの町人文化の中心地である下町、さらに豊かな自然が広がっていた郊外を詳細に案内。

第三章では、「江戸年中行事を訪ねる」として、正月の江戸城での下馬登城から二月の阿蘭陀人の参府、五月の両国花火、九月の神田祭、十二月のすすはらい、などなど、一年の行事がもりだくさんに紹介されています。

『江戸想像散歩』のレビュー

まず、読んでよかったのは、「古地図の読み方がわかった!」というところ。

本書は江戸時代後期の「天保改正御江戸大絵図」を元に、古地図の読み方から始まります。この「天保図」は、幕府の実測図に基づいていて、縮尺・方位の描写が極めて正確なのだそう。

古地図は現代のものとは書き方が違います。けれど、その見方が分かれば実はたくさんの情報が込められていることに驚かされました。

まず、西が上に描かれていること。そして、文字の向きが武家屋敷名の場合は玄関や門の方向に向かうように書かれているのが決まりだそうです。

広い武家屋敷は、入口がどこかわからないとぐるぐると余計に歩き回らないといけない。そんなことを回避するためでしょう。よくできているなあ、と驚きました。

また町名も、基本的に江戸城の方向に向かって書かれるとか。

そのほか、上屋敷、下屋敷の印など、知れば知るほど古地図が楽しくなってきます。

古地図の見方の説明の後で、実際に想像しながら町を歩くことになるのですが、その描写もイキイキとしていて本当に目に浮かぶよう。

おや、道の真ん中に人だかりができている。その頭越しに除くと、どうやら籠脱けの芸をやっているようだ。筒状の籠を横に置き、エイヤッと飛び抜ける大道芸である。中橋広小路は諸国の大道芸人が集まってきて、毎日芸を披露する場でもあった。

『江戸想像散歩』P62 日本橋

当時の江戸はすでに大都市でしたから、大通りは人で大混雑。舗装のされていない道なので、ほこりっぽくて口をあけたら真っ黒になる、なんていう話を聞いたことがありましたが、まさにそんな賑やかな活気あふれる町の様子が目に浮かんできます。

第二章は、江戸の各エリアの詳細。現在はおしゃれな繁華街で知られる赤坂ですが、江戸時代は「坂と武家屋敷ばかりの寂しい場所」だったとか。各エリアの見どころも紹介されていて、「大久保のつつじ」や、小石川の西に「猫狸(ねこまた)橋」なんていう名前の橋があることも面白く読みました。

第三章では、各月の行事が紹介されていますが、本当にいろんなお祭りや行事ごとがあって、江戸の人たちはさぞかし楽しみがたくさんあっただろうな、なんて思ってしまいました。

まさに、脳内で蘇る江戸時代の風景。

タイムスリップしてきたかのような、楽しい読後感でした。

作者プロフィール

著者の冨岡一成氏は、博物館のお仕事から、築地市場に転身されたという異色の経歴をお持ちです。その経験を活かして書かれた『江戸前魚食大全』を以前読んだことがありました。

『江戸前魚食大全』も、江戸の食文化についての知識が深まる面白い本です。合わせてどうぞ。

1962年東京生まれ。博物館の展示や企画の仕事を経て、1991年より 15年間、築地市場に勤務。「河岸の気風」に惹かれ、聞き取り調査をはじめる。このときの人との出会いからフィールドワークの醍醐味を知る。実は子どもの頃から生魚が苦手なのに河岸に入ってしまい、少し後悔したが、その後魚好きになったときには辞めていたので、さらに後悔した。江戸や魚の文化史的な著述が多い。近著『江戸前魚食大全』(草思社)。

旬報社 著者プロフィール

まとめ:古地図の読み方を知って脳内散歩を楽しもう

冨嶽三十六景《五百らかん寺さゞゐどう》
イメージ:葛飾北斎「冨嶽三十六景《五百らかん寺さゞゐどう》」

今回は、時も場所も超えて想像で江戸時代を楽しめる『江戸想像散歩』を紹介しました。

この本は、下記の方におすすめします。

  • 歴史、特に江戸時代に興味がある人
  • テレビ番組「ブラタモリ」など町歩きに興味がある人
  • おうちタイムを楽しみながら想像散歩をしたい人

古地図の読み方も分かるので、実際の古地図をじっくり見てみたくもなりました。

ご興味ある方、今度の週末はおうちタイムに想像散歩をしてみませんか?

それではまた次の本でお会いしましょう。

いつも本と一緒。本と いる。

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