昔からエッセイを読むのが好きでした。
遠藤周作の『狐狸庵先生シリーズ』、東海林さだおのグルメエッセイ、群ようこに、ナンシー関、中島らも、原田宗徳、リリーフランキー、大槻ケンヂ、さくらももこ、椎名誠、妹尾河童、嶽本野ばら、能町みね子…。枚挙にいとまがありません。
人生について深く考えさせられるものもありますが、たいていはちょっとした気分転換にぴったりの堅苦しくないものばかり。毒舌スタイルのものも多く「わかるわかる、あるある」なんて、ほくそ笑みながらストレス発散できるのが楽しいところですよね。
中でもとある女性作家さんのエッセイに、当時のご主人(こちらも某有名作家)との、互いのお尻の穴に痔の薬をぬり合うほどのラブラブな日常が綴られていて「いいな~」とほくほく読んでいたら、あとがきで
「報告があります、この本を私が家にこもって書いている間に、主人が愛人と海外旅行していたのが発覚、離婚しました!」
と書かれていたのには、新喜劇なみに椅子からずり落ちそうになりました。
お尻の穴を見せ合っても確実な愛などどこにもないのだね
若かった当時の私は、そのエッセイで世の無常にふるえました…
そんな私が最近好きで読んでいるのが、ジェーン・スーさん。
音楽プロデューサーであり、コラムニストである彼女の、大人の女性が日々感じている生きづらさや違和感を笑いとばしながら表現してくれる文章はとっても心地よいのです◎
今回は、ジェーン・スーさんの《心にパスーン!》と決めてくれるエッセイから
『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』
をピックアップしてご紹介しましょう。
- ブログ管理人:hontoiru
- 編集ディレクターを経て現在はフリーライター
- 本業では主に飲食系やエンタメ系のライティングを担当
- 趣味は読書、歴史、カフェ巡りなど
ジェーン・スー『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』はこんな人におすすめ
ジェーン・スー『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』はこんな人におすすめします。
- 頼みもしないのに若さや美貌で女の価値を決めて来る周囲にうんざりしている人
- 心の中の少女性と実年齢とのギャップに違和感を抱えている人
- 雑誌がすすめる丁寧な暮らしなんて一生できないと思っている人
わ た し
自覚はあるのか…
『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』のあらすじ
講談社エッセイ賞を受賞した作品『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』。大人の女性なら誰しもがぶちあたる諸問題を、毒舌ではなく鋭いユーモアでズバリと描いたエッセイです。
恋や仕事にまっしぐらだった20代、30代前後になると結婚への最終ベルが鳴り始め、駆け込みで飛び乗った人もいれば、乗りそびれてしまってホームで見送った人もいる。少しお金にも余裕ができた40代に差し掛かり、ようやく女らしくではなく自分らしくなれるかと思いきや、ババアだの美魔女だのと、結局若さや美貌で判断される社会から女は逃れられないことを知る。
そして自分自身も、いつまでも心の中にある少女性を持て余して、若作りに専念しすぎてしまう人もいれば、こじらせてどんどん老けていく人とさまざま(これを庭の手入れと例えたジェーン・スーさんの感性は秀逸すぎるのでぜひ読んでみてください)。
「私はオバさんになったが森高はどうだ」、「ババアの前に、おばさんをハッキリさせようではないか」、「ピンクと和解せよ」、「やさしさに包まれたなら、四十路」……。
伝家の宝刀をふるうかのような言葉に笑いながらザクザク斬られているうちに、悩みながら生きるすべての女性を『同志』と呼びたくなるほど愛おしい気分にさせてくれる一冊です。
『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』のレビュー
女子会には二通りあって、キャッキャウフフしているものはフレンチバルでの女子会、海賊の宴会のように飲んで品のない話に花を咲かせて貯金残高や親の介護の話をしているのがスペインバルや暖簾のかかった居酒屋での女子会…。
「女子会には二つあってだな」の頁に書かれる内容に、「ああ~そうそう」と笑いながら、どちらの面白さもわかるわかると頷いてしまいました。私も思い出しました。会社帰りに女子の同僚だけで行っていた、まぐろが安くておいしい居酒屋とか、おしゃれとはいいがたいけれどおいしいレストランとか…。最終的にはトイレットペーパーの消費量にまで話が及んで、一体全体なにがあんなに楽しかったのか、ものすごく笑い合ってめちゃくちゃ楽しかった気がします……。
ジェーン・スーさんはこんなことも言っています。「女子が選ぶお店は安くてもおいしいが、男子が選ぶお店は安いだけでおいしくないお店が多い。女子をくどきたいなら、安くても料理がおいしいお店を選ぶべし」。
今、そうだ!と立ち上がった女性は多いのではないでしょうか。そうなのです、安くてもおしゃれとはいいがたい内装でも、料理がおいしいお店を探しあてるのが女子センサー。
人生100年時代といわれる今、ますます「若くない」時代のほうが長くなっていくのに、気持ちはあの頃のままで体だけはどんどん老化していく。老化はある日すぐにやってくるのではないのですよね。これもまたジェーン・スーさんが言っているように、いつのまにか妖精が寝ている間に”老けの粉”を振りかけてゆく。一部だけではなく、爪の先から髪の先、皮膚、全身のすべてに少しずつ老けの粉を……。
もはや怪談。恐ろしいですね。
中身はあんまり変わった気がしないのに、外側だけ変わってゆく。
この理不尽さにずっと向き合っていくのが老いるということでは。
そういえば、みうらじゅん氏も「老いるショック」なんて言ってましたね。
だったら抗わずに自然に従えばいいじゃないか。
そんな声もありそうですし、そうしたい方、できる方はそうしたらいいと思います。
でも私はきっと、この「女子」の気持ちを捨てきれずに外側とのギャップに悩み続けそうな気がします。だっていまだにときめくものは昔とちっとも変わらない。
私の母世代だって、嬉しそうに「女子会女子会」と何かにつけはしゃいでいます。ババア会ではないのです。永遠の女子たちが、ちょっとおしゃれをしたり、バカバカしい話で笑い合ったりしているのです。
それは悩ましくも、楽しいひととき。
女であることの面倒臭さと戦い続けてきた歴戦の猛者たちが集う、秘密の花園、それが大人の女子会。
だから「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」には、私はやっぱり死ぬまでと答えるでしょう。
あなたはどうですか?
ジェーン・スーのプロフィール
「独身のカリスマ」とも呼ばれるジェーン・スーさん。お名前から外国の方なのかな?と思っていたらそうではなくて、東京、しかも本郷生まれの日本人なんですね。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』では「本郷までは江戸のうち」と言われるから私は江戸っ子、という話がでてきます。
2021年には、父親との愛憎を描いた『生きるとか死ぬとか父親とか』がドラマ化され、ジェーン・スーさんを吉田羊さんが演じられました(現在は《Paravi》と《ひかりTV》で見ることができます)。
1973(昭和48)年、東京生れの日本人。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で講談社エッセイ賞を受賞。他の著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』『揉まれて、ゆるんで、癒されて』『これでもいいのだ』『女のお悩み動物園』などがある。
新潮社 著者プロフィールより
まとめ:『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』
今回は、大人の女性を悩ませる諸問題について書かれた、ジェーン・スーさんの『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』を紹介しました。
普段はふれないようにしている女性のデリケートなお悩みを、ズバリと斬り捨て、斬り捨てられた方に笑いを残していくという痛快エッセイ。
こんなエッセイが書ける人を私は尊敬しています。
エッセイは楽しい。
その想いを強くさせてくれる作品でした。
『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』は、オーディオブックが聞き放題できるAudibleでも聴くことができます。軽妙なエッセイは「耳で聴く読書」にぴったり!私も今回、紙の本で読んでいたものの再度Audibleで聴いてみましたが、新たな発見があってとっても楽しかったです。ぜひお試しあれ◎
\無料で30日間体験できるから安心/
Audibleって何?という方は、体験談を書いた下記の記事をご覧ください。
それではまた次の本でお会いしましょう。
いつも本と一緒、本といる。
<読書習慣を身につけよう!>
・「Kindle Unlimited」/電子書籍読み放題(30日間無料体験)
小説・実用書・雑誌・漫画など幅広い作品が200万冊以上読み放題!
・「Audible(オーディブル)」/オーディオブック読み放題(30日間無料体験)
今話題の「聴く読書」オーディオブック12万冊以上が聴き放題!
お得なキャンペーンも随時開催されているので、ぜひチェックを◎
\30日間無料で試せる!/
\2月28日まで2ヶ月無料!/
コメント